雑草対策の一つとして「芝生を張る」という方法があります。
この記事では、芝生を張った場合の防草効果や耐用年数、種類や値段、自分で施工する場合に必要なもの、業者に依頼した場合の費用の目安などを、まとめて紹介しています。
防草効果だけでなく、景観を美しくしてくれる効果もある芝生は、雑草対策になるのでしょうか?
疑問に思う人は、ぜひこの記事を参考にしてください。なお、記事では天然芝と人工芝いずれについても触れています。
////芝生の防草効果や耐用年数は?
芝生には「天然芝」と「人工芝」があります。まずは、一般的な天然芝と人工芝の防草効果、耐用年数などを解説します。
天然の芝生の防草効果
「天然芝」は文字通り生きている天然の芝生です。
そのため「水・光・空気」そして「肥料」を使って丁寧に育てていかなければなりません。
このことから、天然芝を育てるということは、そこに根付く(またはタネが飛来した)雑草を育てることにもつながります。
とはいうものの、天然芝に防草効果が全くないという訳ではありません。
きちんと手入れをしている天然芝であれば、何も対策をしていない土地よりも防草効果が期待できます。
1cm程度にカットされ管理されている芝生では芝同士の密度が高くなるため、地面に光が届きにくくなります。
雑草の生育に必要な「水・光・空気」のうち「光」の遮断率が上がるため、雑草が生えにくくなるという原理です。
ただし高い防草効果を求めている場合、管理なども含めて天然芝は難しい部分があります。
雑草が生えにくい天然芝がある
トヨタ自動車株式会社が開発した「TM9」という天然芝の品種があります。
日本で一般的に使用されている高麗芝と比べて管理や手入れが少なくて済むうえ、雑草が生えにくい芝生として人気を博しています。
気になる人はぜひ「TM9」をチェックしてみてはいかがでしょうか?
「TM9」公式サイト(トヨタルーフガーデン株式会社)
人工の芝生の防草効果
雑草対策として多く用いられているのが人工芝です。
天然芝のように手入れや管理をする必要もなく、また秋、冬でも枯れることがないため一年中緑を楽しむことができます。
防草効果という点では天然芝よりも高いとされていますが、実は人工芝には「水はけ」のための小さな穴(数mm程度)が一定間隔であけられていることが少なくありません。
その穴から水が地面に染み込み、日光が差し込むことで雑草が育ってしまうケースもあります。
そのため、「人工芝の下に防草シートを敷く」「除草剤で雑草を除去してから人工芝を張る」といった方法が一般的です。
防草効果という観点からすると、天然芝、人工芝いずれも「それだけ」では不十分と言えるでしょう。
芝生の耐用年数
天然芝は品種や管理によって、人工芝はメーカーや種類などによって差がありますが、一般的に言われている耐用年数は
- 天然芝…管理さえできていれば何十年も生きる
- 人工芝…7〜10年程度
となります。
天然芝の場合、やはり適切な管理が重要になってくると言えます。
人工芝であれば、手入れ不要で7〜10年程度とされているので、コストパフォーマンスは高いと言えます。
ただし、廃棄する際に大量のゴミとなる点は覚えておきましょう。
////芝生の種類と特徴、値段など
芝生にはさまざまな種類(品種)が存在します。それぞれ特徴や値段が異なります。
ここでは、代表的な天然芝と人工芝の種類、特徴、値段の目安などを紹介します。
主な天然芝の種類と特徴
天然芝で代表的なものといえば野芝や高麗芝といった「日本芝」、バミューダグラス類、ブルーグラス類といった「西洋芝」です。
日本芝はホームセンターなどでもよく見かけることがある芝で、日本の気候に適している芝です。
秋〜冬にかけては茶色く枯れ、春には緑に戻ります。
四季を感じることができますが、茶色くなった芝は景観を損なうと感じる人は向いていないかもしれません。
一方の西洋芝は東北や北海道など寒冷地で使われていることが多い芝で、一年中緑色をしているのが特徴です。
ただし、日本芝よりも手入れが大変なこと、日当たりが悪い場所には向いていない品種があることなど、生育には難しい部分もあります。
主な人工芝の種類と特徴
人工芝は素材、色、長さ、密度、水はけ、クッション性などさまざまな種類のものが販売されています。
鮮やかな濃い緑色をしたもののほか、枯れ葉が混じっているようなものもあり、一見すると本物の天然芝のように見えるものもあります。
素材はポリプロピレンやポリエチレンといったものが多く、適度に耐久性がありながら初期費用も安く済むといった特徴があります。
芝生の値段の目安
天然芝、人工芝ともに品種や種類、マットタイプかロールタイプかなどによって値段が大きく変わってきます。
ホームセンター等でよく見られる一般的な天然芝は、37×30cmのマットタイプが10枚1束になったようなものです。
値段は1束あたり500円〜1,000円程度が目安となります。
ただし、ロールタイプの場合若干値段が高くなる傾向にあるため、1㎡あたり3,000円程度を見積もっておくと良いでしょう。
通販などでよく見かける一般的な人工芝は、ロールタイプのものが多くなっています。
幅1m×長さ10mで1本といった単位で売られています。
値段は、1本7,000円〜9,000円程度が目安となります。
芝生の施工方法と費用
天然芝と人工芝それぞれの施工の流れ、自分で施工する際に必要な道具、業者に依頼した場合の費用などを見ていきましょう。
天然芝生の施工の流れ
天然芝の一般的な施工の流れは次のようになります。
1.除草
まずは芝生を張る部分をしっかり除草します。
2.整地
芝生を張る部分を整地することが非常に重要です。
凹凸があると水たまりなどができてしまうためです。
芝生の下は、水はけが良い畑の土や培養土などにすると良いでしょう。
3.芝生を張る
芝生と芝生の間は、1〜2cm程度離しておくのが一般的です。
そうすることで水が地面に浸透しやすくなり、丈夫に育つと言われています。
サイズが合わない場合はハサミでカットして適切に調整します。
4.目土
芝生を張り終えたら、上から芝の目土をかけます。
目安としては、芝生1㎡あたり1袋程度となります。
目土をかけたら、ホウキで全体に馴染ませるように広げていきます。
5.散水
最後に散水をします。
とくに張りたての芝生はしっかりと水をあげることが大切です。
芝生の根っこにも十分な水が行き渡るようにたっぷりあげましょう。
人工芝の施工の流れ
1.除草
人工芝を張る部分はしっかりと除草します。石や切り株その他の異物もきれいに取り除いておきましょう。
2.整地
天然芝と同様に、整地は重要な作業になります。
3.防草シートの設置
必須ではありませんが、雑草対策の一環として人工芝を用いるのであれば、防草シートを敷いておくことをおすすめします。
防草シートについて詳しくは別の記事で解説していますので、そちらを参考にしてください。
4.人工芝を張る
防草シートの上に人工芝を張っていきます。
人工芝同士の間隔は2〜3mm程度、最大で5mm程度が良いと言われています。
きっちりくっつけてしまうと、その部分だけボリュームが出すぎて盛り上がってしまうことがあるためです。
5.U字釘の打設
U字釘を打設して、人工芝と防草シートをしっかり固定します。
このとき、芝を巻き込んでしまうと目立つため、芝を避けながら打設するようにしましょう。
6.目土
人工芝に負担がかかる場所(駐車場など)に設置した場合、目土を撒いておくと長持ちするとされています。
特に硅砂(けいさ)がおすすめです。
自分で施工する?それとも業者に依頼?
天然芝、人工芝いずれも、自分で施工するか業者に依頼するか、悩んでしまうところです。
DIYでできないことはないため、もし時間に余裕があるのであれば、ぜひトライしてみてはいかがでしょうか?
DIYにトライする場合、除草、整地、正確なカッティングが重要になってきます。
そうした作業に自信がない人や、時間がない、芝生を張る面積が広い、雑草が大量に生えている、そもそも作業自体が困難、といった人は業者に依頼することも検討しましょう。
自分で施工する場合に必要な道具
自分で施工する際に必要になる道具の一覧は次の通りです。
- 除草剤
- ハサミ
- カッター
- ホウキ
- 山砂(整地する際にあると便利です)
- 防草シート(人工芝を張る場合はあった方が防草効果が高まります)
- スコップ(大小2種類あると便利です)
- 養生テープ(芝を仮止めするのに便利です)
- 鉄定規(人工芝をカットする際にラインを引くために使用します)
- 油性マジック(人工芝をカットする際にラインを引くために使用します)
- U字釘(人工芝と防草シートを固定するために使用します)
- ハンマー(U字釘を打設する際に使います)
- 目土(天然芝には「芝の目土」、人工芝には「硅砂」がおすすめです)
このような道具を揃えておくと、スムーズに芝生を張ることができます。
業者に依頼する場合の工事費用
芝張りを業者に依頼した場合の費用の目安を紹介します。
天然芝の場合、1㎡あたり3,000円〜6,000円程度が目安となります。
ただし、これは「整地〜芝張り〜目土〜散水」の費用の目安です。
除草や防草シートの設置など、付随する作業が発生する場合は、費用が高くなることがあります。
人工芝の場合、1㎡あたり3,000円〜9,000円程度が目安となります。
自分で人工芝を用意するパターン、整地も含まれているパターンなど、業者によって含まれる範囲が異なるため、事前に確認しておきましょう。
芝張りを業者に依頼した場合、このように業者によって大きく費用が異なるため、まずは見積もりを依頼することをおすすめします。
芝生の手入れ方法は?
芝生の中で手入れが必要になってくるのは、天然芝です。
品種などによって変わってきますが、一般的には次のような方法で手入れします。
- 芝刈り
5月〜10月にかけて、定期的に(月に1回程度)行います。ただし、温暖地、寒冷地や芝の品種によって生え方が変わってくるため、4cm程度に伸びてきたら1〜2cm程度まで芝刈りする、といったように芝の長さを見て決めるようにしましょう。
- 目土
目土は、芝の表面の凹凸を均す(ならす)以外に、芝の生育を促進する効果があります。
そのため、年に1回を目安に目土を撒きましょう。
暖かくなる4〜5月がおすすめです。
- 水やり
4〜10月の期間は、週に1回を目安に水をたっぷりと与えてあげます。
ただし、梅雨の季節など雨が続いているときは不要です。
大量の水を短時間に、よりも少量の水を長時間かけてあげたほうが浸透しやすくなります。
- 雑草の除草
除草は一年を通して行わなければなりません。
雑草が大きく育つ前に、ピンセットなどで根っこから抜くようにしましょう。
除草剤を撒いておくのもおすすめです。
ただし、除草剤を選ぶ際は使っている芝生に悪影響を与えないかどうか、注意書きなどを確認したうえで購入しましょう。
- 肥料による栄養補給
4月〜10月は、月に1回を目安に肥料を与え、栄養補給をしてあげます。
水やりと同様に、一度に多量にではなく、少量を数回にわけて与えましょう。
また、撒きムラが出ないように、できるだけ均一に撒いてあげることを心がけましょう。
芝生のメリットとデメリット
芝生のメリット・デメリットをまとめています。
ぞれぞれ、特徴があるため、自分の目的や用途に合わせて選ぶことをおすすめします。
芝生のメリット
芝生のメリットは、何も対策していない地面に比べると防草効果が期待できる点です。
特に人工芝は防草シートと組み合わせることで、より高い防草効果が期待できます。
また、人工芝には
- 初期費用以外に維持費がかからない
- 雑草の除草や芝刈りといった管理が不要
- 基本的にはどんな地面にも張れる
- 一年中緑色を楽しむことができる
などのメリットがあります。
芝生のデメリット
人工芝は天然芝に比べて導入コストが高くなりがちといったデメリットがありますが、上記のようにメリットが豊富にあります。
むしろ、芝生のデメリットがあるのは天然芝の方です。
天然芝のデメリットとしては
- 定期的に芝刈りや雑草の除草が必要
- 水やり、肥料の散布が必要
- 日当たりが悪いなど条件によって張れない
- 芝刈り機、肥料、除草剤などのコストがかかる
- 冬は枯れる品種もあるため景観が損なわれることがある
といった点が挙げられます。
芝生の防草効果まとめ
今回は、雑草対策の一つ「芝生」についてまとめました。
芝生は防草効果が高いわけではありませんが、景観が良くなる、足腰への負担が軽くなるなどのメリットもあります。
しかし、特に天然芝は手入れや管理が大変、かつ、ランニングコストも高いなど、デメリットもあります。
雑草対策として芝生の導入を検討している人は、さまざまな角度から見比べ、天然芝、人工芝いずれにするかを選びましょう。
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