塀というとよく見るのはコンクリートブロックを積んだものを想像するのではないのでしょうか。
街を歩いていると、背の高い塗り壁の塀やレンガ積みの塀、植物で囲まれている塀など色々な塀を見かけます。
一般的に写真のようなコンクリートブロックや化粧ブロックの上にフェンスを施工しているものが多く存在しています。
一体、塀は何種類ぐらいあるのだろうか?
価格はどれぐらいするのだろうかを調べてみました。
////塀にはどんな種類があるの?
塀といってもブロック塀だけではありません。
塀は外やお隣さんとの境界線です。
家の中や庭でくつろぐためにも、外からの視線を遮ることや、外の様子が見える必要もあります。
一番にプライバシーを守るための目隠しや防犯の役割を果たす必要があります。
コンクリートブロックを高く積み上げるだけではなく、住宅全体をおしゃれに魅せる造りを心掛けなくてはなりません。
そこで、コンクリートブロック以外にどのような塀があるのかをまとめてみました。
ブロック塀
左からユニソン:アルタ(シャドーベージュ)、ユニソン:コトン(ライトグレー)
施工する場所の土を掘り起こし、地中に砕石を敷き、コンクリートを固めて基礎をつくります。
その上から、鉄筋やモルタルを使用してブロックを積み上げていきます。
工期が短く、比較的手軽であるためよく採用されます。
ただし、やみくもに高く積んでもいいわけではありません。
建築基準法等で細かく決められているため全てを守らなければなりません。
土や基礎の状態によって施工できる高さやブロックの厚みが規定されたり、控え柱が必要となる規定や鉄筋、基礎の厚みなど細かく規定されています。
なお、ブロックの最大の高さは地面より2.2メートルまでとされています。
コンクリートブロックの他に、化粧ブロックがあります。
化粧ブロックにはリブや模様がついていたり、張材と思わせるぐらいクオリティの高い木目調のブロックやタイル風のブロックなども揃っています。
色も豊富にあるため化粧ブロック同士を組み合わる、塀の中に100㎜の空洞を作ることでよりおしゃれに塀を作ることが可能になります。
また、ブロックの中には空洞ブロックや木目調、石材風のブロック、ガラスブロックもあるため、これらも組み合わせることでよりおしゃれでオリジナリティのある塀が仕上がります。
ブロック塀+フェンス
ブロック塀を数段積んだ上にフェンスを施工します。
ブロック塀の施工時間に比べて格段と時間が少なくなることや、倒壊等の損傷も比較的少ないです。
必要の高さを全てブロックを積みよりもフェンスを組み合わせることで価格も低くなります。
全てブロック塀であれば、視界はシャットアウトは可能であるが、外への視界、風の通り、光もシャットアウトしてしまう欠点も出てきます。
フェンスにはウッド系から目隠し、アルミ、スチール、鋳物など素材もデザインも豊富にあります。
用途に応じた商品が見つかることや、住宅の雰囲気にぐっと近づけます。
レンガ塀
ブロック同様の手順でレンガを積み上げていきます。
ブロック塀と比較すると一気に重厚感、こなれ感が現れます。
その反面、施工時間は多くなります。理由としては、レンガのサイズです。
一般的なサイズとして、ブロックは横400㎜×高さ200㎜。レンガは横200~230㎜×高さ60~80㎜。
また、レンガの中には鉄筋等による補強のし難しいものがあったりします。
地震などの外からの力に対して安定性を増すために積み方は上下段でレンガをずらして積む(馬目地)が主に採用されています。
その際にはモルタルで穴を埋める作業も縦方向に垂直に目地が通る芋目地に比べて多くなるため、作業時間は長くなります。
色合いは茶色やベージュ、オレンジをはじめ、白や黒、今年流行りのくすみカラーとしてラベンダー、グレー、水色などたくさんの商品が揃っています。
カントリーテイストをはじめ、ビンテージ風、フレンチ風など造りたいイメージに仕上げることができます。時間をかける分、いい味がでます。
また、薄型の張るレンガもあるため、コストを気にしたり、地面から少し貼り付けたい場合やアレンジしたい場合などは張材レンガを選択することもおすすめです。
タイル、自然石などの張材塀
これら張り材は横400㎜×高さ200㎜の石材が細かくつながっている状態の厚み20~40㎜のプレートや横150~400㎜×高さ40~120㎜、厚さ10~40㎜の本物のような石調のプレートを何枚も貼り合わせるものです。
厚みや大きさが1枚1枚違うため凹凸があり、本物のように見えますし、存在感があります。
施工方法はコンクリートブロックの目地を隠し、その上からモルタルで1枚ずつ張り付ける方法です。
現在はレンガ積みよりも圧倒的に張材を使用される方が多いです。
ブロックだけでは物足りない、高級感を出したい、周りの住宅と差をつけたい、自然らしい感じにしたい。また、塀の一部にアクセントとしてタイルや石材を張り付けたいという場合にもこの張材を使用します。
自然石から住宅の外壁で使用されるタイルやモザイクタイル、レンガなど様々なサイズ、素材、色があるためイメージに合う商品が必ず見つかります。
ただ、乾燥が必要になるため、梅雨や湿度の多い時期や悪天候が続く日などは工期が延びてしまいます。
吹付、塗り壁
ブロック塀やコンクリート壁の表面を塗り壁で仕上げています。
塗り壁にすることで、建物に合った色で塗装することが可能になります。
一般的に塗り壁に使用される塗装剤はアイカ工業社のジョリパットです。
色の種類は80種類以上、塗り方も120種類以上あり、組み合わせによっては個性的なデザインに仕上げることができます。
またホムデアルデヒト対応や汚れ防止、柔剛性、防藻、防カビ性などの機能や耐久面も優れています。
材質はアクリルの塗料に砂などの骨材を混ぜているため、家の外壁など幅広い場所で使用されています。
施工方法としては、コンクリートなどの塀の上に下地材を塗り付けます。
これは塗り面を均一にすること、塗り壁を美しく仕上げる目的があるためです。
塗り面が厚くなると強度が増すので、ひび割れ等にも強くなります。
そして、下地の上から1~2回塗り付けていきます。
模様は仕上げとして、コテや刷毛、ローラーなどで模様をつけていきます。
自然石積み
竹藤商店:滋賀県産近江石、ギリシャ産ロックフェイスイエロー
月日を重ねるにつれて味が出て、風情のある空間を創り出してくれるのが石積みです。
自然石を使用することで、温かみを感じることができること、劣化がありません。
規模によってはコンクリートを使用して施工する工事よりも低価格で施工できることもあります。
積み方の種類はたくさんありますが、一般的には「練積み」と「空積み」があげられます。
練積みは、目地にモルタルを入れたり、石の裏や砕石にコンクリートを流し込んで積み上げます。
安定性が高いため5m程度の高さまで積むことが可能になります。
空積みは、セメントなどの接着剤を一切使わず、石と石を噛み合わせて積んでいくものです。
練積みに比べ、強度が弱いため、建築基準法では高さが2m以上は禁止されています。
コンクリート打ちっ放し
コンクリート打ち放しは型枠、鉄筋の配筋で形をつくり、そこに生コンクリートを打ち込みます。
一定の養生期間を置いて、型を外します。
その後、コンクリート表面を吹付たり、モルタルで塗るなどの仕上げは施すことなく、コンクリートそのままの美しさを活かしたものです。
コンクリートが持つ、重厚感や素材感からシンプルでシャープな印象を与えます。
またいろいろな高さや形を作ることができます。
枠は一般的にベニヤ板を使用しますが、杉板等に変更することで表面の仕上がりに変化をつけることも可能です。
ブロック塀やフェンス等に比べて価格は高くなります。仕上げを施さないため、施工には熟年した型枠、コンクリート打ち込み等の技術と経験、厳密な管理が必要になるからです。
また経年による表面の汚れなど補修が必要になってくるため、維持費が必要になってきます。
生垣、竹垣
生垣 竹穂垣
光悦寺垣
生垣とは植栽で境界塀を作ることです。
現在自治体で注目をされ、力を入れている緑化活動のひとつです。
目的としては緑豊かなまちづくりを行い、地震によるブロック塀等の倒壊による災害を防ぐものです。
生垣、竹垣の効果としては、緑や赤などの植栽を使用することで街に彩りを添え、心に安らぎを与えてくれます。
また、植栽は暑さをやわらげ、快適空間をつくってくれます。
もちろん目隠しの役割もありため、プライバシーは守られます。
今年6月に大阪府北部を震源として地震により多くのブロック塀が倒壊したことで問題が注目されていますが、生垣は地震に強く、高木であると火事の延焼を防ぐ効果もあります。
ナチュラルな暮らし、緑に囲まれた暮らしをしたい方にはおすすめです。
住まれている自治体によっては補助金が出る可能性もあります。
生垣は植栽によって柔らかい雰囲気の洋風や昔ながらの和風を作ることができます。
よく使用される植栽は、シルバープリペット、レッドロビン、イチイ、ボックスウッド、サザンカなどです。
植栽であるため、日々成長します。刈り込みや施肥など日常的な管理が大切になります。
また、竹垣とは竹で編んだ塀のことであります。日本庭園や和風づくりには欠かせないものになります。
種類は建仁寺垣、高麗垣、沼津垣、鉄砲袖垣、襟垣、鶯垣、四つ目垣、大徳寺垣、立会垣などがあります。
ブロック塀の前に施工し家からブロック塀を目隠しすることも可能です。
趣のある落ち着く空間を作り上げてくれます。
天然の青竹であると耐久性は長いとはいけません。腐りやささくれが起るなどするため定期的な作り替えが必要となってきます。
和風エクステリア
伝統である職人技をパネルとしてユニット化することで、短い時間で施工が可能であり価格も抑えられるようになりました。
種類も人気の建仁寺垣をはじめ、御簾垣、金閣寺垣、四つ目垣、清水垣、大津垣、細美垣など揃っています。
単独施工はもちろん可能であるが、複数の垣を組み合わせることも可能です。
竹色も豊富に揃っています。素材はアルミであるため、耐久性にも優れています。
更に扉や袖塀を組み合わせて施工することが可能になるため、外との生活動線ができ、快適に暮らせます。
////塀のタイプ別価格
造りたい塀のイメージが出来たが、やはり気になることは価格です。
外構において、全体のどこのスペースに予算を掛けるかによって、施工できる塀の種類が決まってきます。
参考価格になりますが、塀の種類別での価格を調べてみました。
※算出価格は施工費を含めています。コンクリート基礎は¥5,000/㎡としています。
※参考条件として長さ2メートル、地上高さ1.2mです。
※あくまでも参考として考えていただきたいです。業者様によって金額は違ってきます。
ブロック
※積み方や商品グレードを変更すると割高になります。
①コンクリートブロック ¥34,000~
- コンクリート基礎・・・¥10,000(2m×5,000)
- ブロック・・・¥30,000(@¥10,000)(2m×1.2m=2.4㎡、2.4㎡×10,000=24,000)※30個使用
②化粧ブロック ¥46,000~
- コンクリート基礎・・・¥10,000
- ブロック・・・¥36,000(@¥15,000)
ユニソン:シャモティ12-5LWの場合…材料費¥19,800(基本形横筋、@¥660×30個、W400×H200)
ユニソン:ゴードンウォール450の場合…材料費¥94,320(基本形横筋両面、@2,358×40個、W450×H140)
ブロック塀+フェンス ¥63,500~(ブロック塀はコンクリートブロック¥8,000と想定)
- アルミフェンス(縦格子)・・・¥25,500~ (フェンス本体T-8、柱、エンドキャップ)
- 施工費(1スパン)・・・¥30,000~
- ブロック塀・・・¥8,000(@¥10,000) (2m×0.4m=0.8㎡、0.8㎡×10,000=8,000)
フェンス高さ0.8mとして計算した場合、コンクリート塀の高さは0.4mとなるため。
スチールフェンス(LIXIL:ハイグリッドフェンスUF8型 Т-8)…¥14,000~
目隠しフェンス(LIXIL:セレビューフェンスR3型 Т-8)…¥41,000~
材料費のみ。
ブロック施工は上記(1)の価格を参考に加算してください。
レンガ塀 ¥38,800~
- コンクリート基礎・・・¥10,000
- レンガ・・・¥28,800(@¥12,000)
ユニソン:ミルドブリック60…材料費¥30,240(タンブル、@144×210個、20段、W200×H60)
ユニソン:ソイルレンガ210…材料費¥75,600(タンブル、@360×210個、20段、W210×H60)
タイル、自然石張り塀 ¥154,000~※ブロック塀¥34,000含める
- タイル・・・¥120,000~(@50,000×2.4㎡)
- 乱形石・・・¥124,800~(@52,000×2.4㎡)
ユニソン:パイルストーン乱型…材料費¥57,120(@¥23,800×2.4㎡、基本形)
ユニソン:クレモナスリム…材料費¥42,720(@¥17,800×2.4㎡、300角タイル)
ユニソン:クレモナストーン…材料費¥26,880(@¥11,200×2.4㎡)
塗り壁 ¥118,000~
コンクリートブロック塀(¥34,000)を含む
- 塗り代・・・¥84,000~(@35,000×2.4㎡)
自然石積み ¥228,000~(@¥95,000~、間知石積み)
ユニソン:セルバストーンプレート…材料費¥162,960~(@¥67,900×2.4㎡)
コンクリート打ちっ放し ¥100,800~(@42,000×2.4)
生垣、竹垣
- 生垣 ¥20,000~(@¥10,000~、3本程度)
- 竹垣 ¥104,000~(@35,000~)※ブロック塀上施工としてブロック塀費用も含む(¥34,000)
- 本体、施工費・・・@¥35,000~
- 地面に施工する場合・・・@9,000(柱1本)
和風エクステリア ¥123,700~(ブロック塀はコンクリートブロック¥4,000と想定)
◆建仁寺垣・・・¥89,700~(Т-10ユニット型、間仕切りタイプ、片面仕様、柱ブロンズ、真竹)
- 施工費(1スパン)・・・¥30,000~
- ブロック塀・・・¥4,000(@¥10,000)(2m×0.2m=0.4㎡、0.4㎡×10,000=4,000)
フェンス高さ1.0mとして計算した場合、コンクリート塀の高さは0.2mとなるため。
◆建仁寺垣(LIXIL:フリーポールタイプ Т-6、真竹、端部カバーなし)…¥58,700 この場合、ブロック塀0.6m必要(¥12,000)
◆大津垣(LIXIL:ユニット型、間仕切りタイプ、両面仕様、Т-12、柱ブロンズ)…¥177,400~
フェンスの高さが1.2mであるため、コンクリートブロック塀を使用しないで、独立基礎で施工する。
※独立基礎工事の参考価格として¥5,000(箇所) ※材料費のみ。
////塀の利用事例をご紹介
設置する場所によって、見栄えを重視するか、機能面を重視するか決まってきます。
場所ごとに設置する塀の利用についてまとめてみました。
道路沿い、人通りが多い、視線が気になる面に接する塀
人通りの多い面に接する塀は、外から視線を遮ることが重要になってくると思います。
また、人が目にすることや室内から見える場所であったり、敷地の正面となる箇所については、デザインにも重視していくといいと思います。
目隠しに適している塀の高さは約160㎝程度です。
ブロック塀のみであると、圧迫感があげるため写真のような空洞を作ったり、何枚かの塀を前後ずらして設置することで抜け感がでます。
また、植栽を手前に配置したり、窓の前に高木を植えることで目隠しと見栄えがよくなります。
隣地との境界線、人目があまりない面に接する塀
全ての塀をおしゃれにすることは予算が高くなります。
おしゃれに魅せるところは魅せる、価格を抑えるところは抑えることが大切になってきます。
隣地との境界線やバックヤードに施工する塀、人目がないところに設置する塀は、目線を隠す目的がないのであれば、必要最低限の囲みで済ます家が多いです。
ただ、お風呂場、脱衣所などの部分のみ高いフェンスなどで目隠しをしている家もあります。
高い場所、傾斜地に施工する塀
高台にある家や傾斜になっている場所に塀を施工する場合は、ブロックを斜めにカットすることは手間がかかります。
高台や傾斜地の場合、一般的にはコンクリート打ち放しが多いです。
それだけでは、目線が気になったり、高さが高いので落下の恐れがあるためフェンスを施工することが一般的です。
フェンスの中には斜め施工ができる商品があります。種類も視線をほぼ100%遮断してくれるものからスリット系、スチール系豊富に揃っているため、機能面に加え、デザイン面もカバーしてくれます。
塀のまとめ
塀には様々な種類が存在します。しかし、これらはあくまでも基本的な塀です。
オリジナルとして塗り壁とタイル張りを組み合わせてみたり、ブロック塀の中に空洞を造りその中にフェンスを施工するなど、アイデアはたくさん存在します。
今回、価格をだけをみて断念しようか、と思うことはやめてください。
塀の種類を組み合わせることで、造りたいイメージが予算で叶えることも可能になるからです。
また、デザインばかりではなく塀に求める機能やメンテナンス等についても十分考えると施工後の生活がより快適に過ごせます。
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