カーポートは、愛車を保護する重要な役割があります。
しかし、だからといって慌ててカーポート設置工事を依頼してはいけません。
カーポートには、事前に対応を考えておかないとといけないポイントがいくつもあるのです。
カーポート設置工事を依頼する際に気をつけるべき点とは何なのか、詳しくみていきましょう。
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////カーポート設置工事における注意点
考えていた位置に思わぬ障害物があるとか、あるいは場所によっては、他人に迷惑をかけるさえあるのです。
それでは、カーポート設置にあたっては、どのような点に注意をすればいいのでしょうか。
隣地に配慮しているか
誰しも少しでも広く車を留めるスペースを確保したいものです。
そのために敷地境界線ぎりぎりに建てる計画をすることがあります。
しかし、その場合には、カーポートの屋根の上に降った雨や積もった雪が、どこに落ちるのか検証しましょう。
明らかに隣地に落下するような計画であれば、近隣トラブルの元になりますから、柱の位置に配慮した方がいいでしょう。
道路境界線を越えないか
もちろん柱を道路に建ててはいけないことは、いうまでもありません。
気をつけたいのは、屋根の位置です。道路は必ずしも敷地と直角に接しているわけではありません。
あるいは角地であれば、隅切りがある場合もあります。
注意を払わないと、こうした変則な道路の上空を知らずに越境してしまうことがあるのです。
屋根が道路上空を占拠すると、建築基準法違反になります。
さらに道路管理者から、撤去命令が出される場合もあります。くれぐれも屋根が道路に突出しないように設置位置をしっかりと確認する必要があります。
もう一つ道路で気をつけたいのが、4m以下の狭い前面道路だと、建築基準法第42条第2項の道路(二項道路)である可能性があります。
もし二項道路であれば、道路中心線から2mの範囲は、たとえ自分の庭地であっても、建築基準法上は道路の扱いになりますから、この上空に屋根を設置することはできません。
道路境界をしっかりと確認しておきましょう。
設備配管の位置を確認しよう
せっかく柱の位置を決めたのに、その地面下に水道管やガス管が走っていたら、設置することは不可能です。
基礎の大きさの関係から、配管から50㎝は離れていないと柱は建てられませんから、設置する前に設備配管の位置を確認しておきましょう。
勾配に注意しよう
車を止める位置が勾配面であっても、カーポートは水平に設置します。
つまり奥行きが上り勾配であれば、地盤が上がった分だけ柱が短くなるのです。
特に車高の高い車の場合には、車が屋根に収まるのか確認が必要です。
大屋根の軒下は避けよう
母屋の大屋根の軒下にカーポートを設置すると、大雪の際に大屋根から固まった雪が落下することがあります。
雪の直撃を受けると、カーポートの主要な屋根材であるポリカーボネート板が破損する可能性があるので、軒下はなるべく避けるべきでしょう。
母屋の外壁からはなるべく離そう
片面だけに柱がある片持ちのカーポートは、風や地震に対してある程度揺れることで、強度を維持しています。
建物の外壁と離していないと、強風や地震の際にカーポートと接触してしまい、外壁を破損させる原因になります。
カーポートの設置には、カーポートの揺れに配慮して位置を決定しましょう。
樹木の位置に配慮しよう
新築のときは、植栽した苗木も低いことが多いのですが、この中に高木が含まれている場合があります。
高木の種類によっては、3年もするとカーポートの屋根を越してしまうこともありますから、植物の成長を見込んでカーポートの位置を決定しましょう。
地域の特性に応じたカーポートを選択しよう
一般的に販売されているカーポートは、標準的な地域に合わせた仕様のものです。
特に降雪が多い地域や強風が予測される地域では、降雪や強風に耐えられる仕様の製品を選定する必要があります。
////カーポートの設置にかかる費用
カーポートの設置にはどれくらいの費用がかかるのでしょうか。
一般的な車一台用で片側支持のカーポートの場合、工事費込みで、メーカー価格が約30万円、ホームセンターで売り出しているものだと約15万円になります。
ホームセンターの方が安価になっていますが、ホームセンターで選べる製品は限定的ですので、広い選択肢の中から決めたい場合は、各メーカーのカタログを吟味したうえで、エクステリア専門店もしく地元の建設会社などに相談した方がいいでしょう。
価格は工事費込みで表示されていることが多く、一台用のカーポートの場合は、施工費として約4万円が含まれています。
ただ、これは標準的な工事価格なので注意が必要です。
既存のコンクリートをはつって基礎を埋める工事が必要な場合や、あるいは既存の車庫を撤去する工事が発生する場合などは、別途料金が必要になりますから注意をしてください。
既存のコンクリートをはつって工事をする場合は、約1万円の追加になります。
カーポートの下には土間コンクリートを施工することが多いようですが、車一台分、約15平方メートルの土間コンクリートを施工すると、約30万円の費用が追加になります。
////カーポート工事の依頼先は?
カーポート設置工事は、どこに依頼すればいいのでしょうか。
一般的に考えられるのは、ホームセンター、エクステリア専門店、工務店です。
それぞれどのような特徴があるのかみていきましょう。
ホームセンターに依頼する
ホームセンターの特徴は、製品が安いという点です。
ただしどこまで製品が揃っているのか、あるいはオプションがどこまで揃っているのかは十分に確認する必要があります。
よく売れる商品、いわゆる売れ筋の商品しか揃えていない場合もあります。
ホームセンターは製品を売る会社ですから、ほとんどの店では、施工自体は下請けに出しています。
設置場所が複雑な形状にあるなどの施工上の相談には、あまり的確な答えがかえってこない可能性があります。
このため、施工上の問題が発生したときに、どこまでホームセンターとして保証してくれるのか十分な確認が必要です。
エクステリア専門店に依頼する
外構工事に熟知したエクステリア専門店に依頼する方法があります。
ただし、エクステリア専門店は、店によって扱う規模の差があります。
いくら評判のよい店だとしても、ゼネコンやハウスメーカーの下請けを中心に営業をしているようなところだと、カーポート設置工事のみでは相手にしてもらえないことがあります。
その一方で、カーポート設置工事を専門に行っている店もあるのです。
カーポートの製品自体は、ほとんどがメーカー品ですから、性能上の問題はないのですが、施工の仕方によっては、寿命を縮める可能性があります。
最も注意が必要なのが基礎工事でしょう。
基礎工事は現場施工ですから、ここに施工者の技術と良心の差が現れます。
基礎工事にコンクリートではなく、強度のないモルタルを用いることも考えられます。
あるいは、メーカー指定のサイズよりもかなり小さいサイズの基礎を設置することもあります。
つまり、エクステリア専門店に依頼する場合は、店の見極めが重要なポイントだということです。
地元の建設会社や工務店に依頼する
エクステリア専門店の見極めが難しいことから、知り合いの工務店や家を建てたハウスメーカーなどに依頼するケースもあります。
この場合、多くの工務店は、エクステリア専門店に下請けに出します。
このためエクステリア専門店の出した見積額に経費を上積みした額が請求されることになります。
しかし、工事の最終責任は、すべて工事を請け負った工務店にあるので、工務店としてもいい加減な店を下請けにするわけにもいきません。
場合によっては、基礎工事と土間コンクリート工事は、別の土工事会社に下請けに出すこともあります。
工務店に依頼した場合は、少なくとも最初の打ち合わせと完成確認は、工務店の監督が立ち会います。
つまり、専門家の立場でエクステリア専門店の業務を監督してくれることになりますから、その点を含めて、経費が安いか高いのかの判断が必要です。
建設業の登録がない会社でも工事ができる?
ところで、ホームセンターやエクステリア専門店に依頼する場合に、留意しておくべき点がもう一点あります。
それは建設業の登録についてです。
建設業の登録は、都道府県庁が管轄しています。
このため、たとえば違法行為をすれば、業務停止などの処分もあり得るのです。
しかし建設業の登録は、建設業に携わる会社が必ず登録しないといけないというものではありません。
建設業法には、請負金額が500万円以下であれば、登録がなくても工事ができると定められています。
このため、たとえばカーポート設置を専門に行っている会社であれば、まず500万円を超える工事はありませんから、建設業の登録をしていない会社は相当数あるのです。
工事の進め方に疑義があっても、指導を願い出る官公署が、消費者センターしかないのは、ひとつの不安材料だといえます。
カーポート設置工事にかかる日数とチェックポイント
カーポートを依頼した際には、どれくらいで完成するのでしょうか。
また工事中に注意するのはどんなところなのでしょうか。順にみていきましょう。
カーポート設置工事の工程
カーポートの工事は、次の順で進められます。
- 位置決め……柱の設置位置を決めます。このときは、依頼主の立ち会いが必要です。
- 堀方……基礎を設置する箇所の地盤を掘ります。約60㎝四方で深さ約60㎝です。
- 基礎底締固め……掘方をした地盤を整えて締固めます。
- 砕石敷きつめ……基礎部分に砕石を敷きつめます。
- 柱アンカー取り付け……柱を基礎に定着させるために、柱の足元にアンカー材を取り付けます。
- 柱の仮建込み……柱の周辺を木片や土のうなどで固定します。
- 梁や母屋の組み立て……梁や母屋などの各枠組みとなる部材を組み立てます。
- 建ち直し……柱が垂直になるよう調整をします。
- 基礎コンクリート打設……基礎部分にコンクリートを流し込みます。
- 養生……コンクリートが一定の強度になるまで現場を保存しておきます。(強度が出るまで4日~7日は必要です)
- 屋根葺き材取り付け……屋根にポリカーボネート板を取り付けます。
- 雨樋取り付け……軒樋と竪樋を取り付けます。
- 完成……依頼主が立ち会い、完成を確認します。
1~9の工程は、1日を要します。
その後4日~7日の養生期間があります。
冬場は強度がなかなか出ないので、長めの養生が必要です。
その後10の工程から完成までは1日を要します。
したがって、実工事期間は2日ですが、中に養生期間を挟むので、着工の日から6日~9日で完成します。
工事中のチェックポイントは?
カーポートの寿命を決めるのは基礎です。
何かのアクシデントでポリカーボネート板が破損しても、張替えをすることで延命ができます。
しかし、柱が傾いた場合は、補修がききません。
基礎がしっかりしていれば、こうした不測の事態を防ぐことができるのです。
手抜き工事をする施工会社は、本来コンクリートで造る基礎にモルタルを使用します。
コンクリートは、セメントと砂と砕石と水を練りますが、モルタルはセメントと砂と水で練ります。
コンクリートは、10㎝角で18トンの荷重に耐えられますが、そもそもモルタルは構造体に使用することを前提とした材料ではありません。
平時は周辺の土と相まって柱を固定していますが、地震で地盤が液状化する事態になれば、たちまち基礎の脆さが露呈する事態になりかねません。
基礎には、必ずコンクリートを使用してもらうよう、施工会社に念押しをしておきましょう。
また柱の根入れ深さも重要です。
カーポートでは一般的に柱が55㎝前後まで地盤に埋まることになっています。
根入れ深さが適正なのか、チェックをしましょう。
カーポートは組み立て商品ですから、一般の家具同様に「組立・施工説明書」がついています。
施工会社に説明書をみせてもらうと、基礎部が仕様どおりに施工されているかのチェックができます。
まとめ
ここまで、カーポート設置工事を依頼する際に気をつけることについて説明をしてきましたが、いかがでしたでしょうか。
カーポートを設置する際には、設置位置が重要なポイントになります。
せっかく設置位置を決めても、障害物があって設置できないことがあります。
また雪や雨が隣地に落ちるような状態になるのは避けた方がいいでしょう。
実際に工事をする際は、基礎工事が非常に重要です。
「組立・施工説明書」と照合して、きちんと図面どおりに施工されているか自分の目で確認をしましょう。
カーポートは、愛車を保護する重要な役割があります。
後悔しないよう、設置工事の依頼には細心の注意を払って施工依頼して下さい。
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