カーポートは、周囲が開放された駐車用の建物をさします。
基本的には、柱と梁で支える構造ですが、はたして大雪の降る雪国でも耐えられるのでしょうか。
また雪国でカーポートを購入する際には、どんな点に気をつければいいのでしょうか。
詳しくみていきましょう。
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////雪対策型としてどんな製品があるの?
カーポートには積雪量に応じた商品がそろえられています。
主なタイプは次の通りです。
- 積雪20㎝タイプ……一般用です。多雪地域でない地域で使用されます。
- 積雪50㎝タイプ……柱・梁のサイズが太くなり、柱も片側で3本使用することで強度を上げています。
- 積雪100㎝タイプ……-ほとんどの製品の屋根が、厚さ0.6㎜のスチール製の折版になります。柱も両サイドを支える4本になります。
- 積雪200㎝タイプ……柱の量が増えて、横ブレ防止用のバー材が柱の間に入っています。折版の厚さも0.8㎜になります。
これらの製品の中間にも積雪30㎝タイプや積雪150㎝タイプなどがあります。
////積雪タイプの費用はどれくらいかかるの?
カーポートは、メーカーごとに価格のばらつきがあり、施工費も請負会社によって大きく異なります。
ここでは、積雪タイプが異なるとどれくらい価格が変わるのかという概要を掴んでいただけたらと思います。
- 積雪20㎝タイプ……14万円~18万円
- 積雪50㎝タイプ……20万円~24万円
- 積雪100㎝タイプ……34万円~38万円
- 積雪150㎝タイプ……50万円~54万円
- 積雪200㎝タイプ……65万円~70万円
積雪量が多い地域に対応するタイプは、構造材がアルミからスチールになり、屋根材もポリカーボネートからスチール製の折版になるため、価格が大幅にアップします。
////各地域の積雪量を確認しよう
建築基準法では、各地域の想定積雪量が定められています。
ただし、これはかなり細かな地域別なので、ここでは気象庁が公表している都道府県別の年間降雪量ランキングをみていきましょう。
都道府県 降雪量の順位
№ | 都道府県 | 積雪量 |
1 | 青森県 | 669㎝ |
2 | 北海道 | 597㎝ |
3 | 山形県 | 426㎝ |
4 | 富山県 | 383㎝ |
5 | 秋田県 | 377㎝ |
6 | 福井県 | 286㎝ |
7 | 石川県 | 281㎝ |
8 | 岩手県 | 272㎝ |
9 | 長野県 | 263㎝ |
10 | 新潟県 | 217㎝ |
11 | 鳥取県 | 214㎝ |
12 | 福島県 | 189㎝ |
13 | 滋賀県 | 104㎝ |
以上の都道府県が過去30年間の平均降雪量が1mを超えている地域です。
しかし、多雪地域ではないからといって油断は禁物です。
2014年の豪雪では、多雪地域でない地域において、わずか1日で次のような積雪があったのです。
- 群馬県前橋市 44㎝
- 埼玉県秩父市 59㎝
- 長野県北佐久郡軽井沢町 52㎝
- 山梨県甲府市 83㎝
さらにこの年の1カ月の降雪量として次のようにな記録があります。
- 群馬県前橋市 106㎝
- 埼玉県熊谷市 106㎝
- 千葉県中央区 57㎝
- 長野県北佐久郡軽井沢町 121㎝
- 山梨県甲府市 157㎝
- 山梨県南都留郡富士河口湖町 190㎝
これらの地域では、この年カーポートの崩壊が数多く報告されています。
このため国土交通省では、従来基準の緩かった「多雪地域以外の地域」においても、建築基準法の積雪荷重を強化しました。
これまで大雪を体験したことのなかったこれらの地域の人は、その後カーポートを購入した際には、積雪50㎝タイプの希望が多かったようです。
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カーポートの積雪対策はどんな基準で選べばいいの?
気をつけないといけないのは、カタログの仕様で「積雪〇〇㎝対応」と書かれているのは新雪の積雪量を想定しているということです。
新雪の比重は意外に軽く0.3しかありません。
これが水を含んだ雪になると、比重は0.7までアップするのです。
積雪100㎝タイプの場合、ある日雪が降ってきて1mの積雪だと安心していられるけど、後からどんどん雪が降ってきて締固められてくると45㎝あたりで危険ゾーンになるので、急いで雪降ろしをしないといけなくなるのです。
したがって、カーポートを選ぶ際には、世間的に想定されている積雪量よりも1ランク上のカーポートを選んだ方がいいといえるでしょう。
カーポートに積雪したときの対処法は?
それではカーポートに想定以上の積雪があった場合はどんなことに注意したらいいのでしょうか。
雪降ろしをする
新雪のうちは比較的軽量の雪も、後追いで雪が降り積もると雪が締固められて比重が高くなります。
積雪が危険ゾーンに達する前に雪かきが必要です。
水は厳禁
あまり積雪の経験がない人は、ついホースの水をかけて雪を解かそうと考えがちですが、これは大変危険です。
ホースでかけた水はたちまち凍ってしまい、さらに重量を増すことになるからです。
焦らずに、雪がシャーベット状になるまで待ちましょう。
脚立を使った作業をしない
脚立やカーポートの屋根の上に登って作業をすることは絶対にやめましょう。
実際にカーポートの屋根に上って事故をした事例も報告されています。
ポリカーボネートは人の荷重には耐えられません。
また脚立での作業も、地面が凍っていることから、足場が不安定になっています。
ましてや凍った地面に倒れると大けがをすることになりますから、絶対にやめましょう。
専用の「雪降ろし棒」を使う
それではどうやって雪降ろしをすればいいでしょうか。
実はカーポート専用の雪降ろし棒があるのです。
これなら地上から雪を下すことができ、屋根を傷つけることもないので安心です。
人気商品は三協アルミ製の「おっとせいG」です。
最長380㎝まで伸ばせるので、通常のカーポートであれば楽に対応できます。
約2万円前後で購入できますから、冬場の必需品としてぜひそろえておきましょう。
雪国ではカーポートと車庫とどちらがいいの?
車を収納するという意味では、車庫もカーポートも同じ役割を果たします。
多雪地域でなければ、費用面でカーポートを選択する方が多いのですが、200㎝もの積雪に耐えるカーポートともなると、費用的にも車庫に高価になります。
せっかく費用をかけるのであれば、この際車庫にしようかと迷われている方もいるのではないでしょうか。
ここでは、雪国におけるカーポートと車庫の比較をしてみましょう。
雪に強いのどちら?
車庫は、雪が内部に入り込むことはありません。
一方カーポートは、吹雪いた雪がカーポートの中まで入り込んできます。
これだけを考えると、車庫の方が優位のように思えます。
しかし、雪が1m以上積もっている状態のことを考えると、車庫の入口にたどり着き、シャッターや扉を開けるのはかなり困難だということが分かります。
その点、カーポートだと、車までたどり着ける時間が短時間ですむのです。
状況にもよりますが、この点は、カーポートの利点だといえます。
車内が氷点下になるのを防いでくれるのは?
雪国の冬で車にとって大敵なのは凍結です。
なかなかエンジンがかからないといったトラブルも発生します。
車の凍結をより防いでくれるという意味においては、車庫の方が優れているといえます。
雪の日でも点検、作業ができるのは?
突然の雪で、タイヤ交換をしたり、チェーンを巻く作業が必要な場合があります。
車庫内では、たとえ外か大雪であっても、タイヤ交換などの作業が可能です。
カーポートは、大雪が降れば作業範囲が限定されるために、とてもタイヤ交換ができる状況にはなりません。
雪や霜がウインドウに付着するのを防ぐのは?
車庫はウィンドウに雪や霜が付着するのを防いでくれます。
カーポートの場合でも完全とまではいかなくても、車をすぐに発進できる程度は防いでくれます。
ふぶきから守ってくれるのは?
激しいふぶきのときには、思わぬところから物体が飛んできて、車体を傷めることがあります。
車庫内であれば、その心配は全く無用です。
カーポートは、飛んでくる物体を防ぐ効果は期待できません。
倉庫としても活用できるのは?
雪国に住んでいると、少し外出するだけで防具などの必需品がたくさんあります。
車体に対して余裕のあるサイズの車庫を設置すると、交換用タイヤや自動車用品ばかりでなく、防寒セット一式を車庫内に収納することができます。
カーポートは、倉庫としては活用できません。
価格が安いのは?
いくら積雪仕様のカーポートが高価格とはいえ、車庫も同様に補強が必要なことから、価格面ではやはりカーポートの方が割安になります。
まとめ
ここまで、カーポートが雪国で耐えられるのかについて説明をしてきましたがいかがでしたでしょうか。
積雪は、見た目以上に重量があることから、油断をすると大事故の原因になりかねません。
一般タイプのカーポートは価格的にはリーズナブルですが、近年の異常気象を考えると、いつ豪雪に見舞われるか分かったものではありません。
カーポートの購入を検討する際には、ワンランク上の積雪タイプをご検討されてはいかがでしょうか。
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