固定資産税は建物に費用をかけると税額もアップします。
それではウッドデッキを取り付けた住宅は、さらに固定資産税が高くなるのでしょうか。
ウッドデッキを設置すると固定資産税はいったいどうなるのか、詳しくみていきましょう。
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////そもそも固定資産税とは何か
固定資産税は、土地や建物の所有者が支払う税金です。
税額は固定資産税評価額の1.4%で計算されます。
固定資産税評価額というのは、市町村の役場で算出した価額なので、実際に購入した価格や工事請負代金とは異なります。
たとえば土地の固定資産税評価額が3千万円、建物の固定資産税評価額が2千万円だと固定資産税がいくらになるのか計算をしてみましょう。
- 土地 3千万円×1.4%=42万円
- 建物 2千万円×1.4%=28万円
- 合計 42万円+28万円=70万円
これにより70万円の固定資産税が課せられることになります。
ただし建物が住宅の場合だと、土地の税金は6分の1になる特例が適用されます。
また建物も経年とともに減価率が適用されて下がっていきます。
////建物は完成後に市役所から職員が調査にやってくる
建物の固定資産税評価額を決定するために、建物が完成すれば市役所の固定資産税担当職員が現地調査にきます。
ここで、どうして固定資産税の担当職員が建物の完成を知り得たのか不思議に思う人もいるかもしれません。
その秘密は地方税法の中に隠されています。
地方税法の第382条には「登記所は、土地又は建物の表示に関する登記をしたときは、10日以内に、その旨を当該土地又は家屋の所在地の市町村長に通知しなければならない」と定められています。
これに基づき法務局で登記をした建物は、自動的に市町村の固定資産税担当部署に資料が回される仕組みになっているのです。
固定資産税の担当職員は、完成された建物の外部と内部を全て調査します。
基礎の高さや内装材の種類、コンセントの数など事細かに調査をして、点数を加算していきます。
もしビルトインのエアコンが取り付けてあれば、これもしっかりカウントされて税金に反映されますから、少しでも節税をしようと思えば、エアコンなどの設備類は調査後に取り付けた方がいいということになります。
////どんなものが固定資産税の対象になるの?
それではウッドデッキも固定資産税の調査時に完成していたら、しっかりとカウントされるのでしょうか。
結論からいえば「NO」です。
詳しくは後述しますが、明らかに家屋と分断された外部にあるので固定資産税の対象外になるのです。
それではどういったものが、固定資産税の対象になるのでしょうか。
固定資産税の部署は登記所からの情報で建物の完成を知ることからもお分かりのように、基本的には建物登記がなされたものが、固定資産税の対象になります。
ここでいう建物とは、建築基準法で定義付けされている建築物とは異なります。
建築基準法では建築物を次のように定義しています。
「土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの」
つまり屋根があって、それを支える柱か壁があれば建築物になります。
一方で、不動産登記規則第11条では「建物は、屋根及び周壁又はこれらに類するものを有し、土地に定着した建造物であって、その目的とする用途に供し得る状態にあるものでなければならない」と定められています。
これを分かりやすく分解してみましょう
- 屋根及び周壁又はこれらに類するものを有している(外気分断性)
- 土地に定着した建造物である(定着性)
- 目的とする用途に供し得ることができる(用途性)
つまり「外気分断性」「定着性」「用途性」3要素が揃って初めて建物として扱われることになります。
このルールをウッドデッキにあてはめてみると、どういったものが固定資産税の対象になるのでしょうか。
パターン別にみていきましょう。
- ウッドデッキのみ……屋根がないので対象外です。
- オーニングなどの庇がある……屋根が可動式であり、定着しているとはいえないので対象外です。
- ウッドデッキから立ち上げた柱に屋根を取り付けてある……土地に定着した屋根があるので、建築基準法上は建築物となりますが、壁がないことから外気分断性がないので、固定資産税は対象外です。
- 周囲をガラスで囲ったサンルームタイプのウッドデッキ……外気分断性があるので固定資産税の対象となる可能性があります。
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もし固定資産税の対象になればどれくらいの税負担が必要か
実際の調査では、仕上げ材を拾い上げて算定しますが、固定資産税の担当職員でないとなかなか判定の詳細はわかりません。
固定資産税の概算としてよく用いられるのが実際の工事費の50%を固定資産税評価額とみなす方法です。
たとえば工事費が20万円かかったとして、ここでは、その50%である10万円を固定資産税評価額と仮定して試算してみましょう。
10万円×1.4%=1,400円
これによりサンルーム式のウッドデッキを作ると、固定資産税が1,400円アップすることになります。
あとからサンルームを作った場合はどうなるの?
住宅入居後にサンルームを増築したからといって、現実にはそのサンルームを法務局で登記する人はほとんどいません。
このため市役所にサンルームを増築したことを知られることはないはずですが、中にはこれを面白くないと感じて市役所に通報する人がいます。
たとえば固定資産税の部署に通報があれば、職員としては知り得た限りは無視することはできません。
この場合、市役所の職員が調査をした後に固定資産税の台帳に登載され、翌年以降固定資産税の対象になります。
建物の登記をしていないのに、固定資産税の対象になるのはおかしいのではないかと疑問に思う人もいるかもしれません。
しかし固定資産税は、現況主義なので、たとえ登記がなされていなくても、固定資産税の対象になるのです。
それではこれが建築確認申請書の交付がないまま増築をして、建ぺい率違反になったケースだとどうでしょう。
建築違反担当の部署では、早急に解体をするように厳しい指導をします。
本来存在してはならないものなのに、これを追認するかのように、同じ役所が固定資産税を徴収するのは矛盾しているのではないかと思う方もいるかもしれませんが、固定資産税の部署としては、たとえその建物が違反であろうとも、その年の1月1日の時点で、存在していた建物は固定資産税の対象として取り扱うのです。
この他にどんなものが固定資産税の対象になるの?
住宅に関係するものでは、この他にどんなものが固定資産税の対象になるのでしょうか。
それぞれ分類してみましょう。
固定資産税の対象になるもの
- 母屋
- 離れ
- 蔵
- 倉庫
- ガレージ車庫
- サンルーム
固定資産税の対象にならないもの
- カーポート
- バルコニー
- テラス
- 門、門扉、塀
- 濡れ縁、縁台
- 屋外作業場
- ビニールハウス
ウッドデッキ固定資産税のまとめ
ここまで、ウッドデッキに固定資産税がかかるのかについて説明をしてきましたが、いかがでしたでしょうか。
ウッドデッキはたとえ屋根を取り付けたとしても、外気分断性がないことから固定資産税の対象にはなりません。
一方でサンルームのように壁に類するもので三方以上を囲ってしまうと、たちまち固定資産税の対象になってしまいます。
ただし、たとえ固定資産税の対象になったとしても、年に1,000円~2,000円のアップにすぎません。
しかも年々その額は減価されていき、15年も経過すると、以降は200円~400円で推移します。
それほど規模の大きくないものであれば、固定資産税のことはあまり気にせず、自分の望むライフスタイルを実践した方が、有意義に過ごせるのではないでしょうか。
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