オシャレなイングリッシュガーデンの作り方

皆さんはどのようにガーデニングを楽しんでいらっしゃいますか?

好きな植物や花に囲まれて暮らすのは生活に彩りが加わってとても素敵ですよね。

ガーデニングを楽しんでいる方々の中には『イングリッシュガーデン』という単語を聞いたことがあるという人も多いのではないでしょうか。

ガーデニングのスタイルの一種なのですが、今回はそのイングリッシュガーデンについてご紹介して行きます。

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イングリッシュガーデンって何?

そもそもイングリッシュガーデンとはどのような庭の事を指すのでしょうか?

ガーデニングの歴史を紐解きながら説明してみようと思います。

ガーデニングの様式は大きく分けると「イタリア式」「フランス式」「イギリス式」の3つに分類され、18世紀頃にイギリス式のガーデニング様式が確立されるまではイタリア式やフランス式が主流でした。

イタリア式のガーデンはルネッサンス期にその端を発し、建築物を主役に据えるのが特徴で、丘の中腹などの丘陵地で高度差を利用して眼下に広がるパノラマを楽しむために作られていたものです。

彫像や生け垣による迷路など人工的に作られた意匠を左右対称に配置し訪れる人を楽しませていました。

イタリア式庭園の例:ヴィラ・デステ

その後、美しい庭園様式はイタリア国外へと広まり、フランスで発展を遂げます。

それがフランス式庭園です。

丘陵地域で多く見られていたイタリア式とは違って、平坦な土地が多いフランスでは建築物を主役に据えるのでは無く、広大な敷地の中で左右対称に並べられた花壇や噴水を楽しむものでした。

植栽で優雅な模様を創り出す『刺繍花壇』と呼ばれる造形の花壇が特徴です。

おとぎ話や映画に出てくるような圧巻の景観ですね!

フランス式庭園の例:ヴィランドリー城

イタリア式、フランス式を経ていよいよイギリス式のガーデニングが確立されていきます。

イギリス式の特徴は自然の景観美を追求したものであるという点です。

イタリア式やフランス式では人工的に刈り込まれた生け垣や彫像などの人工物が配置されていましたが、イギリス式では自然のままの植物による穏やかな風景を楽しむ事が目的でした。

「風景式庭園(ランドスケープガーデン)」とも呼ばれたイギリス式庭園では湖や池を利用して自然を感じていたのです。

イギリス式庭園の例:ブレナム宮殿

19世紀頃になるとそれまで宮殿や貴族の邸宅などで造形されていたガーデニングをコテージの様な田舎家で楽しむ文化が生まれ、色彩の調和を重視したものへと発展して行きます。これこそが『イングリッシュガーデン』として日本で認知されているガーデニングの源流なのです。

イングリッシュガーデンにベンチなどの家具が映えるのは、自然の景観を散策する際の休憩場所として古くから好まれてきたからなのです。

決して覚えておく必要のある知識ではありませんが、少しでも歴史を知っておくとますます庭造りが楽しくなるし、愛着がより一層深くなっていきませんか?

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イングリッシュガーデンの作り方

一口にガーデニングと言っても歴史や地理条件によって様々な発展を遂げていることがわかりました。

現在日本で受け入れられているイングリッシュガーデンは家庭で楽しむナチュラルな雰囲気を楽しむものというニュアンスで広まっていて、その可愛らしい雰囲気が人気を博しています。

それでは、ここからは具体的にイングリッシュガーデンの作り方をご説明して行きます!

レイアウトや配置の考え方

基本的には自由な発想で自然の雰囲気を楽しむのがイングリッシュガーデンなのですが、上手くバランスを取らないと「ごちゃごちゃしている」「手入れされてない」といった悪い印象を与えてしまいかねません。

きちんと手を加えているのに自然に見える、というのが上手なイングリッシュガーデンの作り方なのです。そのためのコツを見ていきましょう。

  • ボーダーガーデン

ボーダーガーデンとは小道や塀に沿って手前から奥にかけて高くなるように植物を配置する手法です。

手前の低い植物から高い植物へと視線を誘導することで奥行きが生まれて、ひと目見た時の雰囲気の向上に繋がります。

植物の生育だけで高さを演出するのが難しかったり、配置したい草花の背が低い場合にはプランターなどを上手く使って高さを出してみましょう。

台の上にプランターやポッドを置くようにすれば台の高さ次第で簡単に調節出来るので実現しやすいと思います。

  • 色彩設計

歴史を紹介して来たように、イングリッシュガーデンは自然の雰囲気を楽しむ様式です。

そこで大切になるのは花の色。

同系色の花でまとまりをつくると全体が整った印象になります。

また、花の咲く時期が重なってしまうと風景を楽しめる時期が限られてしまうので、庭全体を使って季節ごとにずらして配置すると一年を通して花の表情を満喫する事が出来ます。

一斉に咲き乱れる花々も壮大でとても綺麗ですが、同じ時期に花が終わってしまうと一年の大半が寂しい景色になってしまいかねませんからね。

  • 素材選び

庭全体をナチュラルな雰囲気でまとめあげるためには植物以外のエクステリアにも気をつける必要があります。

アクセントとして設置するベンチや椅子、テーブルなどは木製のものをチョイスして統一感を出しましょう。

「何が何でも木製じゃないとダメ!」ということはなく、置く物のシルエットや色合いが庭の雰囲気を壊さないのであれば鉄製やその他の素材で出来たエクステリアでも全然構いませんが、プラスチック感が強いものなどはナチュラルな雰囲気には合いづらいと思います。

大事なのは全体のバランスです。

また、通路となる小道はアスファルトやコンクリートではなく、レンガやタイルを敷き詰めてつくるとグッと雰囲気が増すでしょう。

レイアウト事例

上記のコツを踏まえた上でいくつか具体的なレイアウトの事例をご紹介してみたいと思います。

こちらは木で出来たベンチを取り囲むようにして色とりどりの花が植えられています。

手前には低い花、奥に行くにつれて段々とアイポイントが高くなるように配置されており、『ボーダーガーデン』を見事に成功させています。

地植えだけでなく鉢植えの植栽も置かれていますが、その鉢の素材感や色合いも全体を壊すことなく調和が取れています。

こちらもボーダーガーデンを取り入れたガーデニングですが、注目するポイントは建物の壁を利用して奥行きを出している点です。

この写真では斜めから見ているので立体的な奥行きや広がりがより把握しやすくなっていますが、正面から見た際にも白で統一された『色彩設計』の花々から奥の壁にかかった緑までが大きなボーダーガーデンとして目線の動きを演出しています。

窓枠の色も可愛いですし、すごくまとまりがありますね。

小道に沿って両脇にボーダーガーデンを使って配置されたガーデニングです。

赤と黄色で調和されている花々がとても綺麗ですね。

草花だけでなく大きな樹木がアクセントになって雰囲気を演出しています。

小道にはレンガが並べられていて、アスファルトやコンクリートに比べるとナチュラルな感じが増しています。

レンガの色合いも花の色より鮮やか過ぎることがなく、景観の中で悪目立ちすることなくバランスが取れていると思います。

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イングリッシュガーデンに欠かせない花とは

ここまでイングリッシュガーデンのレイアウトや作り方のポイントをご紹介してきました。

では、実際に庭をイングリッシュガーデン風にアレンジするにはどういった花を選べばいいのでしょうか?

イギリスで使われている草花は気候の違う日本では上手く育たない事もありますので、日本に合った植物で庭を彩っていきましょう。

草花

  • ベゴニア

ベゴニアはブラジルが原産の一年草です。

開花時間が長く、4月の中旬頃から11月くらいまで花を咲かせてくれます。

公園などでも花壇苗として良く使われていますね。春先になると根がついたポット苗が園芸店などの店頭に並ぶのでそれを植えると良いと思います。

お値段も優しいです。

背は低いですが花色は鮮やかですので、ボーダーガーデンの一番前列に植えると華やかになりそうです。

  • キンギョソウ

キンギョソウはその名の通り、金魚のような可愛らしい形の花をつける地中海沿岸地方が原産の草花です。

種類がとても多く、5mを超える背の高い品種からこんもりと茂る小型種までバラエティに富んでいます。

開花時期は5月頃で品種によって一重咲き、八重咲きなど咲き方も変わるのでお好みのキンギョソウを探してみてください。

  • パンジー(ビオラ)

パンジーはヨーロッパ原産の一年草です。

大輪のものをパンジー、小さい花が株立ちで咲くものをビオラと呼ぶようですが、現状は交配が複雑化しているので区別がつけられなくなっていきているそうです。

秋から春にかけて長い期間花をつけてくれるので、どうしても寂しくなりがちな冬のガーデニングには欠かせない存在です。

色も多種多様で鮮やかですし、初心者でも育てやすいのが嬉しいですね。

  • チューリップ

シンプルなシルエットが広く人気を博しているチューリップ。

原産は中央アジア~北アフリカと言われています。

とても多くの品種が存在していて、その登録品種数はなんと5,000を超えています。実際に育てられている品種だけでも1,000種類以上というのですからとてもポピュラーな花であると言えますね。

開花時期は3月下旬から5月上旬にかけての時期であり、1~2週間程度花を咲かせ続けます。

スッと茎の伸びたシルエットはボーダーガーデンの一番奥に配置すると高さが出て奥行きに繋がります。

また、写真の様に小道の脇に並べてみてもとても可愛らしい雰囲気を演出出来ます。

  • ガーベラ

ガーベラは南アフリカが原産の多年草です。多数の園芸品種が生育されていて、今も毎年のように新しい品種が生まれ続けています。

オレンジやピンク、赤など明るい色の花を咲かせるのが特徴で陽気な雰囲気の花ですね。

ガーベラは3~5月頃と9~11月頃の2回開花時期を迎えます。

  • ラベンダー

ラベンダーはその安らかな香りが人気の地中海沿岸が原産のハーブです。

色彩も優しくアロマ効果と相まって癒やされると感じる人が多い人気の植物ですね。

富良野のラベンダー畑に代表されるように寒い地域には強いですが、高温多湿を嫌うので夏を越すのが難しいかもしれません。

開花時期は4月~7月頃です。認知度も高いですし、庭造りの目玉にもなれる植物ですね。

  • ルピナス

ルピナスは藤の花を逆さにしたような見た目をしていることから「昇り藤」などと呼ばれる事もあるそうです。

北アメリカが原産で、比較的どの地域でも育てやすい植物です。大きいものでは花穂が60cm程度になるのでボーダーガーデンの最奥に配置して華やかな存在感を放ってもらうのがオススメです。

開花時期は4月下旬~6月。

・グランドカバープランツ

イングリッシュガーデンは四季折々の花を楽しむガーデニング様式ですが、お庭のスペースは限られた空間ですので年間を通して楽しむ為の種類を植えるのは難しいですよね。

となるとせっかくの庭が寂しい雰囲気になってしまう…。

そこで活躍するのが常緑または長い間、地面やちょっとした隙間などを覆ってくれるグランドカバープランツと呼ばれる植栽です。

グランドカバープランツには耐久性があり、繁殖力が適度に強く手入れが楽な植物が向いています。いくつかご紹介していきます!

  • ギボウシ

東南アジア原産で日本国内にも多く自生しているギボウシ。

葉の色も鮮やかですし、白く斑の入ったものもオシャレな雰囲気を出してくれます。

もともとは森の中に生えている植物なので強すぎる陽射しを嫌います。なので木の下や日陰に配置しておくとカワイイ葉っぱを楽しむ事が出来ます。

  • アジュガ

アジュガは寒さにも暑さにも強いシソ科の植物です。「匍匐性(ほふくせい)」と言われれう地面を覆うように広がる植物なのでグランドカバーに適した植物だと言えます。

春頃になると低く茂った葉の間から白や紫の小さい花を咲かせます。

丈夫で繁殖力が強いので、「どこまでアジュガにカバーさせるか」というイメージを予め持っておくと良いと思います。

  • ミント

ハーブの中でも良く知られているミントは品種に関わらず基本的に強い性質を持っているのが特徴です。

ハーブティーや料理の香り付けにも使われますね。ただし、品種によっては身体に悪影響を与えるものもありますので注意が必要です。

ペニーロイヤルミントという品種は食用には向きませんが、地を覆うように繁殖し防虫効果に優れているのでグランドカバープランツとしては最適なミントであると言えるでしょう。

ミント類も繁殖力が強いので計画性を持って植えていく必要があります。

  • イングリッシュガーデンの女王 バラ

イングリッシュガーデンの代名詞とも言えるのが、バラです。

景観を楽しむイングリッシュガーデンにおいてバラは主役を担う存在なのです。

主役とはいえ「バラが無ければイングリッシュガーデンとは呼べない!!」というような押し付けがましいものではなく、あくまでも植える花は個人の自由に選ぶ事が出来ます。

ですが、やはりその存在感が華やかですので庭のシンボルと成り得るバラはとても魅力的なのではないでしょうか。

バラは大きく分けると「オールドローズ」と「モダンローズ」に便宜上分類することが出来る(明確な分かれ目は無いそうです)のですが、オールドローズの品種の多くは一季咲きで茎が柔らかくアーチやフェンスなどに絡ませるのに適しています。

小ぶりの花をつける品種もあり、モッコウバラは枝先で10輪程度の花が枝をたわませる優雅な姿で人目を引くことが出来ます。

一方、モダンローズは品種改良を経て年間に何度も花をつける四季咲きと呼ばれる品種が増えたそうです。

四季咲きのバラは夜温15度以上という条件下にあればその名の通り四季を通して花をつけてくれるので、まさに庭のシンボルとして据えるにふさわしいですね。

『ハイブリッド・ティーローズ』という大輪咲きの四季咲き木立ちバラの系統があり、その系統の第一号品種である『ラ・フランス』以前以後で「オールドローズ」「モダンローズ」を分ける事が多いようです。

イングリッシュガーデンのまとめ

いかがだったでしょうか?

自然を自然のまま楽しむという成り立ちをもつイングリッシュガーデンはその自由さが売りの一つです。

好きな花やエクステリアを並べて思うように楽しむ事が出来ます。

ただ、好き放題並べただけでは景観として美しくするのが難しいのでボーダーガーデンを取り入れたり、色彩を調整してまとまりを演出したりするちょっとしたコツが必要ですね。

色とりどりの花を一年中楽しみながらアンティーク調のベンチでティータイムなんて憧れのシチュエーションなのではないでしょうか?

せっかくのガーデンライフですので心の底から楽しめるようにプランニングしてみると良いと思います。

考えてる時間もとても楽しいものですしね。

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