バルコニーに隣戸との間仕切りとして設置するパーテーションは、隔て板や仕切り板、蹴破り戸やベランダ隔てなどさまざまな呼び方があります。
パーテーションを新たにマンションやアパートに設置したり、交換または修理などの必要が出てきても、実際そうしたらいいのか悩んでしまうものです。
身近なものだけど、どういうものかわからないまま行動に移すのは不安なものですよね。
今回はそういったお悩みを解消すべく、バルコニーに設置するパーテーションについて紹介していきます。
素材や仕組み、価格や使い方などを理解することで、安全で快適な住まいにしていきましょう。
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////バルコニーに使われるパーテーションの素材
バルコニーに設置するパーテーションは、マンションやアパートの隣戸とのプライバシーを守る用途の他に自然災害や事故などの非常時に、破ることによって避難経路を確保するという大事な用途があります。
パーテーションの役割として、ボードを容易に破ることができることと、日常的に使用していて台風などの強風に対して破損しにくい事の両立が必要になってきます。
ここではバルコニーに設置するパーテーションの素材や特徴について見ていきましょう。
パーテーションの枠
風雨にさらされるバルコニーに設置するパーテーションの枠は、耐久性や耐候性などに優れた素材が選ばれます。
パーテーションの枠は取り外せるようになっているので、ボードを交換する際には取り外して設置していきます。
雨水などに強く、耐久性も持ち合わせているアルミが、パーテーションの素材として多くの製品に用いられています。
また、マンションやアパートの外観に合わせられるように、色の種類も多く用意されているので、景観を損ねずにパーテーションを設置することができます。
ただし、アルミ素材は経年で汚れなどが付着したままになっていると、劣化の原因になるので注意するようにしましょう。
パーテーションのボード
マンションやアパートで非常時に避難経路を確保するために、ボード部分の素材には安易に破れて、なおかつ強風でも破損しない素材が求められます。
条件に合った素材に、ケイカルと呼ばれるけい酸カルシウム板と、フレキと呼ばれるフレキシブル板があります。
過去にはパーテーションのボードにもアスベストを使用した素材が用いられていましたが、現在はケイカルとフレキ、どちらもノンアスベスト(無石綿)の素材です。
ただ、海外製のものなど安価なものは、アスベストが混入している場合もあります。
アスベストは健康に被害をもたらす物質なので、しっかりと確認することが必要です。
ボードは厚みなどによっても強度や柔軟性が変わってきます。ケイカルとフレキ、それぞれの特徴を見てみましょう。
ケイカル板(けい酸カルシウム板)
腐食しないという特徴を持つケイカル板は、消石灰やけい酸質原料、パルプなどの補強繊維からできている不燃ボードです。
軽量で曲げに対して粘り強く、加工性の高さも持ち合わせています。ケイカル板は湿気にも強く、収縮や反りなどが少ないという安定性があります。
パーテーションには、厚みが5mmもしくは6mmのボードが使われ、5mmのボードであれば子供や女性のこぶしでも割ることができます。
枠にはめ込んだ時の柔軟性の高さがあり、パーテーションのボードとして優れた性能を持っています。
フレキ板(フレキシブル板)
品質の安定性が高い特徴を持つフレキ板は、セメント質の原料と補強繊維を主原料とした不燃ボードです。
ケイカル板に比べて比重が2倍あり重みもありますが、曲げに対しての粘り強さも持っています。
フレキ板はケイカル板と同じく、素材の安定性の高さを持ち合わせています。
国土交通省が認定した不燃建材で、耐火建造物の部品など不燃性が必要なシーンに用いられています。
パーテーションには、厚みが4mmもしくは5mmのボードが使われ、4mmのボードであれば子供や女性が蹴破ることができます。
5mmのフレキ板の場合、男性が蹴破ることができる強度なので、子供や女性が破ることが困難になります。
////バルコニーにパーテーションを設置する方法
強風にも耐えられるようにしっかりとパーテーションを固定する必要があります。
マンションやアパートのバルコニーにパーテーションを設置する場合、壁面にブラケットをつけてパーテーション枠を固定します。
ブラケットを本体につけて取り付ける
パーテーションを保持する作業者と、ボルト止めなど固定をする作業者の2人で行います。
パーテーションにブラケットが付いている状態で設置する方法です。
バルコニーの出幅が狭い場合など小規模の施工で有効な工法で、アンカーの打ち込みから設置完了まで一度に済ませることができます。
人件費や作業日数など、見積もり時に事前に確認するようにしましょう。
ブラケットを壁面に取り付けてから本体を固定
パーテーションの取り付けを1人で行える工法です。
パーテーションメーカーのエスデー工業株式会社のスリムシリーズで行われる工法で、事前にブラケットの設置などができるので大規模の施工などに有効です。
フリー&ストップボルトという落下防止機能を持った特殊ボルトを使うことで、1人での作業を実現しています。
パーテーションを取り付ける高さの台を用意して、スライドさせてブラケットの穴にボルトを合わせます。
後はナットを付けて締め込んでいけば、パーテーションを固定することができます。
隙間が気になるときは
バルコニーのトラブルで多いのが、隣戸から覗かれているのではという苦情です。
パーテーションでバルコニーを区切っていても、隙間が出来てしまいます。
パーテーションと壁の間の隙間を作りたくない場合は、隙間隠しなどがメーカーから出ているので施工前に確認しましょう。
また、施工方法によっては隙間を0mmに設定できるものもあります。どちらにしても、施工業者に対応可能かどうかをまず確認してみましょう。
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////バルコニーのバーテーションにかかる費用
新たにマンションやアパートにパーテーションを設置したり、既存のものを交換などする場合、パーテーションの価格は業者の仕入れ値によって変わってきます。
パーテーションの製品価格は基本の価格相場でおよそ1万円から2万円ほどです。
材料費と工賃を足したものが施工にかかる費用になるわけですが、規模によっても変動するため必要な情報を用意した上で、施工業者に見積もりを依頼しましょう。
ちなみにリフォームの場合、パーテーションを1つ交換したリフォーム費用相場は2万円から3万円です。
ボードだけの交換は8000円ほどが相場となっています。
ただし、基本的な費用の相場なので、これにプラスして人件費や手間賃、撤去費用などがかかります。
また、色味を合わせたい場合など、塗装費が別途かかります。複数の業者に見積もりを依頼して、納得できる説明をしてくれる業者を選ぶのが良いでしょう。
バルコニーのパーテーションを修理する方法
ここではすでに設置してあるパーテーションを修理する方法を見ていきます。
台風などの自然による被害や不注意からの事故などで、パーテーションを破損してしまった際には、ボードの交換や本体の交換をすることで修理します。
応急処置
バルコニーのパーテーションが破損した場合、状態を記録しておくために、まずは壊れた部分の写真を撮っておきましょう。
ボードに穴が空いているとプライバシーや防犯面などで心配なため、そのままにしておくことはできません。
パーテーションを修理するために、業者に依頼するわけですが、スケジュール等すぐに対応してもらえるとは限りません。
また、パーテーションを修理する際には隣戸の許諾も必要になる場合があります。
すぐに連絡が取れればいいですが、そこで時間がかかってしまうこともあり、まずはパーテーションの応急処置をしておいたほうが懸命です。
パーテーションの破れたボード部分を塞ぐためには、ダンボールやプラ板、ブルーシートなどで簡単に処置できます。
非常時に避難できるようにするために、すぐに外せるものや破れるものを使用します。
風で飛ばされないように、ガムテープやビニールテープなどで貼っておきましょう。
ボードの交換
パーテーションが破れてしまった場合、破れたボードを交換する方法があります。
ボードは一般的に枠を外して交換する必要があり、外壁からまず本体を取り外します。取り外したパーテーション本体の枠を外して、破損したボードを取り除きます。
パーテーションを接地した際に、樹脂も使って施工している場合はそれをきれいに外すようにします。
パーテーション枠に問題が無いか確認した後、新しいボードを差し込みます。外した枠をもとに戻し、パーテーションを外壁に戻します。
最後に避難を誘導する「非常の時は、ここを破って〜」というシールや塗装をして完了です。
避難誘導の表示は義務付けられているので、パーテーション修理の施工時に確認しましょう。
また、避難器具がある方向に避難誘導の表示が、しっかりとつけられているかということも確認が必要です。
本体ごと入れ替える
パーテーションのボードが破れてしまった場合、本体ごと入れ替えてしまうという方法もあります。ボードが破損した場合、同じボードが手に入るとは限りません。
同じ種類でも色味が違ったり、色味を合わせようとカラーを指定して注文しても、なかなかうまく行かないものです。
パーテーションの本体ごと入れ替えてしまえば、そういった問題にわずらわされることもありません。
また、枠を取り外したりせず、パーテーションを撤去した後、本体を新しく設置すればいいので作業の手間をある意味減らすことができます。
人件費がかからないモデルなどもあるので、施工業者に問い合わせをしてみましょう。
ボードの塗装にかかる費用や人件費など、見積もりを確認して納得できる方法を選択するのが適当です。
バルコニーのパーテーションの使い方
非常時の避難方法として、バルコニーのパーテーションを破って避難するということを知らない方もいます。
使わないで済むのが一番ですが、万が一の非常時に安全に避難するために、バルコニーのパーテーションの正しい使い方を確認しておきましょう。
避難する方向の確認
角部屋などバルコニーにパーテーションが1つの場合、避難する方向は1方向です。
しかし、バルコニーにパーテーションが2つある場合、避難する方向を事前に確認する必要があります。
バルコニーのパーテーションには、避難するための表示が必ず書かれています。
非常時に避難するため破る指示が書いてあるパーテーションが、階下へ降りていくための避難器具が設置してある場所に行ける方向になります。
避難指示が書いていないパーテーションも隣戸から避難してくる可能性があるので、ものを置かないようにしましょう。
非常時にはわずかな時間でも危険性を高めてしまう場合があります。日頃から避難経路は確保しておく必要があります。
バルコニーのパーテーションを破る
非常時には躊躇せずパーテーションを破るという認識が必要です。
火災や地震などによって避難が必要な場合、パーテーションを破るという判断が遅れてしまうと、重大な事故になりかねません。
ここでは、バルコニーから避難する必要が出た際に、避難経路につながるパーテーションを破る方法を確認していきましょう。
まず、パーテーションを破る前に、パーテーションの向こう側が安全かどうかを確認します。
火災が起こっていないか、バルコニーの破損は無いか、人がいないか、物が置いていないかを目視で確認しましょう。
次に軍手やタオルなどを手につけるか、靴を履いた足を使って、下側にあるボードを強く叩きます。
ヒビが入ってそこから割れるので、何回か叩いて敗れるまで続けます。
パーテーションのボードが破れるとギザギザの状態になるので、その部分をさらに叩いていきます。
鋭利な形状になっているので、安全に注意して叩くようにしましょう。ボードに人が通れるくらいの穴ができたら、そこを通って避難していきます。
パーテーションの材質や厚みによっては、子供や女性、高齢者がボードを破れない可能性もあります。
日頃から声を掛け合ったり、ハンマーなどボードを破るための工具を準備しておくなど、対応が必要です。
避難訓練
パーテーションのボードを破ることはめったにありません。
避難訓練をしてパーテーションのボードを破る体験をしておくことも、非常時に対して安全に行動するための備えとなります。
パーテーションメーカーのエスデー工業株式会社では、パーテーションの避難体験キットをレンタルしています。
レンタル料は1枚のケイカルボードがついて25000円で、追加のボードは1枚3000円となっています。
実際のボードを破ることで、非常時には落ち着いて行動することができ、ボードを破る際にケガをするなどの事故も防ぐことができます。
避難訓練に参加する人数によって、ボードも追加することができるので、体験したい居住者に合わせて発注することができます。
大人2人で枠を固定しながらボードを破るので、必要なスタッフなどを事前に用意するようにしましょう。
ボードの破片などに注意しながら、安全面に気をつけて避難訓練を行う必要があります。
パーテーションの修理や交換費用の負担
マンションやアパートなどの集合住宅では、バルコニーは共用部分になります。
居住者が自由に使える屋外空間ですが、実際は専用使用権を認めている共用部分ということになります。
バルコニーは他の人が勝手に入ることができないため、専用使用権を持った居住者がバルコニーの清掃など、屋外空間の管理を行います。
問題があった場合など、バルコニーは共用部分なので基本的にオーナーや管理会社がパーテーションの修理や交換の費用を負担する必要があります。
ただし、火災などの非常時に避難目的でパーテーションを破る以外の場合、パーテーションの修理や交換にかかる費用は居住者負担となることがあります。
物がぶつかったり、子供が遊んでいてぶつかったり、蹴ってしまって破れてしまったという場合が考えられます。
また自然災害によってパーテーションが破損した際もこれにあたります。非常時以外でのパーテーションの破損があった場合、必ず写真を数枚撮っておきましょう。
現場調査など、破損時の状況などを写真に撮っておくことで、スムーズに処理をしていくことができます。
パーテーションの修理や交換の保険
修理や交換が必要になったパーテーションは、自然災害による破損の場合、火災保険を適用することで費用をまかなうこともできます。
- 強風
- 突風
- 台風
- 豪雨
- 積雪
- ヒョウ
上記の理由でパーテーションが破損した際には、日付や状況、また写真などを用意して保険会社に確認するようにしましょう。
屋外空間に設置されたパーテーションは、自然災害の影響を受けやすいものです。
保険契約の段階で適用範囲などをしっかりと見ておくことで、パーテーション破損時にスムーズに対処することができます。
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バルコニーのパーテーションまとめ
ここまでバルコニーのパーテーションについて見てきましたが、いかがでしたでしょうか。
身近にあるパーテーションですが、初めて知ることも多かったのではないでしょうか。
今回得たバルコニーのパーテーションについての知識は、新たにパーテーションを設置する場合や交換など、現在だけでなく将来的にも役に立っていきます。
また、非常時におけるパーテーションの使い方を居住者全員がしっかりと認識することで、安全性を高めることができます。
安全が確保できプライバシーを守れるパーテーションを適切に設置して、安心して暮らせる住まいにしていきましょう。
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