縦列でカーポートを設置する場合の注意点と対応策

複数の車を所有する家族が増えています。その際に問題になるのが、カーポートの設置をどうするのかということです。

現在カーポートは台数に応じて様々なバリエーションが揃えられています。

しかし敷地の形状から、どうしても縦列にしか駐車できない場合はどうすればいいのでしょうか。

縦列でカーポートを設置する場合の注意点とその対応策について紹介していきます。

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縦列用カーポートの種類

車を2台所有して縦列駐車する場合、概ね次のようなパターンになります。

道路と直角に車を縦列に並べる

車の出入りする間口が一台分しかとれない敷地は、道路と直角方向に車を並べて留めることになります。

この場合、奥に留めた車は、常に前に留めた車をいったん外に出さないと出入りができないため、使い勝手が悪く感じることがあります。

一方、カーポートの構造は、片側柱と両側柱の両タイプを選択することができます。

台風や積雪の対策で不安がある場合は、より安心度が高い両側柱タイプのカーポートを選択できるメリットがあります。

道路と並行して車を縦列に並べる

道路から直接進入して切り替えなしに縦列に並べる場合は、それぞれの車を自由に出し入れできるというメリットがあります。

ただし、両側柱だと車の進入に支障があるので、片側柱タイプのカーポートしか選択できません。

縦列用カーポートの設置で注意すること

縦列用カーポートの間口は、1台用とまったく同じ2m40㎝~2m70㎝ですが、奥行きは2台用で10mの長さになってしまいます。

目測である程度のことは予測できる1台用カーポートとは違い、規模が大きくなるといろいろな面で予測の難しいことがあります。

縦列用カーポートの設置で、どのような点に気をつければいいのか順にみていきましょう。

勾配に注意しよう

日ごろは敷地内の傾斜を意識することはありませんが、縦列用カーポートを設置するとなると注意が必要です。

カーポートは斜面地であっても、地面に平行に設置するのではなく、あくまで水平に設置するからです。

たとえば5%くらいの緩い勾配であっても、10mで50㎝の違いが生じます。

通常ならほとんどの車が収納できる、高さ2m40㎝のカーポートを設置した場合、一番奥で有効高さが1m90㎝になりますから、車種によっては収まらなくなります。

隣地に配慮しよう

縦列用カーポートを設置すると、敷地の中の相当のスペースを占有することになります。

そのために敷地境界線ぎりぎりに建てる計画になりがちですが、車2台分のカーポートの屋根の上に降る雨や雪は、かなりの量になります。

雨や雪がどこに落ちるのか検証して、なるべく隣地に迷惑のかからない位置に設置しましょう。

道路境界線を越えないようにしよう

敷地に余裕がないと、ついカーポートの屋根くらい道路の上にかかってもいいだろうと考えるかもしれませんが、絶対にやめましょう。

屋根が道路上空を占拠すると、建築基準法違反になります。さらに道路管理者から、撤去命令が出される場合もあります。

くれぐれも屋根が道路に突出しないように、下げ振りなどで設置位置をしっかりと確認する必要があります。

設備配管の位置を確認しよう

奥行の長いカーポートですから、設置位置のどこかに水道管やガス管が走っているかもしれません。

どうしてもカーポートを優先したいとなると、配管の切り回しをすることになりますが、これにかかる費用は相当高額になります。

基礎の大きさの関係から、少なくとも配管から50㎝は離れていないと、カーポートの柱は建てられません。.

設置位置を決める際には、必ず設備配管の位置を確認しておきましょう。

大屋根の軒下は避けよう

2台縦列のカーポートともなると、母屋の大屋根の下を完全に避けるということは難しいかもしれません。

しかし屋根の軒下にカーポートを設置すると、大雪の際に大屋根から固まった雪が落下することがあります。

雪の直撃を受けると、カーポートの主要な屋根材であるポリカーボネート板が破損する可能性があります。

どうしても大屋根の軒下に設置することになりそうなら、カーポートの屋根材にカラー鋼板製の折版を選択するという方法もあります。

母屋の外壁からはなるべく離そう

片面だけに柱がある片持ちのカーポートは、風や地震に対してある程度揺れることで、強度を維持しています。

建物の外壁と離していないと、強風や地震の際にカーポートと接触してしまい、外壁を破損させる原因になります。

カーポートの設置には、カーポートの揺れに配慮して位置を決定しましょう。

どうしても母屋と近接することになるようなら、強風の際の可動幅が少ない両側柱タイプのカーポートを選択した方がいいでしょう。

樹木の位置に配慮しよう

新築のときは、植栽した苗木も低いことが多いのですが、この中に高木が含まれている場合があります。

高木の種類によっては、3年もするとカーポートの屋根を越してしまうこともありますから、植物の成長を見込んでカーポートの位置を決定しましょう。

どうしても残したい樹木がある場合は、オプションで屋根の位置を切り欠く加工が可能です。

地域の特性に応じた性能の製品を選択しよう

一般的に販売されているカーポートは、標準的な地域に合わせた仕様のものです。

降雪が多い地域や強風が予測される地域では、降雪や強風に耐えられる仕様の製品を設置する必要があります。

特に縦列用カーポートとなると、カーポート全体に受ける風圧や積雪荷重は単純に考えて、1台用の2倍になります。

通常であれば、柱一本当たりの負担は1台用と同等なはずですが、整備不良があると、特定の部位に負担が集中することがあります。

しかも、2014年の豪雪でみられたように、多雪地域でない地域において、わずか1日で50㎝~80㎝の積雪が記録された事例もあります。

縦列用カーポートが積雪の被害に遭うと修理費や再購入費が非常に高くつきますから、標準の仕様よりもワンランクアップの強度を持つ製品を選ぶと安心です。

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勾配に対応したカーポート

三協アルミ マイリッシュOK 奥行2連結タイプ

工事費込み価格  40万円~60万円

引用:三共アルミ

傾斜のある敷地であれば、傾斜勾配に合わせた対応可能な三協アルミのマイリッシュOKが適しています。

その名のとおり奥行(O)勾配(K)の形状になっているのです。

多くのカーポートは片流れか、間口から見て対称となるアーチ型になっていますが、この製品は、敷地形状に合わせて奥行方向に屋根勾配がとれる形状になっています。

このため、傾斜地にカーポートを設置する場合であっても、不必要に高い柱を建てることなく、車高の高い車両を収納することができます。

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壁付けができるカーポート

YKKAPレイナベーカーポートグラン50 縦連棟タイプ

工事費込価格35万円~50万円

引用:YKKap エクスショップ

どうしても壁に近接して設置しなければいけないときは、この際思い切ってカーポートを壁付けにしてはいかがでしょうか。

この製品は、片流れ屋根を壁付けにすることができます。もちろん接続部は防水加工をしますから、雨が漏れる心配はありません。

車が出払ったときには、室内と一体的に使用でき、まるでテラスのような雰囲気を味わうことができます。

豪雪にも耐えるカーポート

LIXIL テリオスポートⅢ 縦連棟タイプ

工事込み価格 60万円~70万円

引用:LIXIL エクスショップ

豪雪にカーポートが耐えられるだろうかと心配な場合は、カラー鋼板折版屋根のこの製品はいかがでしょうか。

ここに紹介したのは、積雪100㎝まで耐えられる仕様ですが、さらには200㎝まで耐えられる仕様の製品もあります。

鋼板製の屋根なので、採光がなくポリカボーネート製の屋根に比べてやや暗い印象がありますが、屋外なので使用にはまったく支障はありません。

縦列カーポートのまとめ

ここまで縦列でカーポートを設置する場合の注意点と対応について説明をしてきましたが、いかがでしたでしょうか。

縦列用カーポートは、一棟のカーポートで、2台以上の車を収納できるという、車の所有者にとっては非常に重宝なものです。

自分のカーライフに合った製品を選んで、快適な暮らしを楽しみましょう。

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