塩水や海水が除草に効果があるって聞いたけど、実際どっちがよく効くんだろうと気になっているという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
同じ塩味だし違いはなさそうだけど、どうせ使うならよく効くほうを選びたいですよね。
塩水は身近にある塩を使って簡単に作れますし、海が近ければ海水もすぐに手に入れることができます。
また塩水や海水は肌に直接触れても害はないため、手袋やマスクといったものを着用しないでも散布できる手軽さがあります。
本来除草には時間や労力が必要になりますが、塩水や海水を使った除草方法は休日のちょっとした時間をかけるだけで雑草の悩みを解決することができるんです。
今回は塩水除草と海水除草ではどちらのほうが除草に効くのかについて解説していきます。
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////塩水と海水の違いについて
除草で使用する塩水と海水についてまずは確認しておきましょう。
塩水
食卓にある食塩や海塩、岩塩などの種類があり、それらを水でとかしたものが塩水です。
食塩は海水にあるミネラル分がほとんど取り除かれたもので、塩化ナトリウムの純度が高いのが特徴です。
海塩はマグネシウムやカルシウム、カリウムなどのミネラル成分と約80%程度の塩化ナトリウムでできており、煮詰めたり天日干しをする製法で作られています。
そして岩塩は海水が地殻変動などで埋もれて、時間の経過とともに結晶化したもので、純粋な自然塩といえます。
海塩とおなじくミネラル分がありますが、結晶化とともにミネラル分は排除されていき、食塩のように塩化ナトリウムの純度の高い塩になっています。
海水
地球上にある水分の97%を閉めるのが海水で、水と3.4%程度の塩分でできています。
塩分には塩化ナトリウムが77.9%含まれており、他にも塩化マグネシウムや硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、塩化カリウムなどで構成されています。
海水の塩分については場所によって3.1%から3.8%までばらつきがありますが、塩分を構成するものについてはほぼ一定になっています。
ちなみに海洋学では絶対塩分によって、0.05%までが淡水、0.05%から3.5%までが汽水(きすい)、3.5%から5.0%までが海水、5.0%以上が塩水として区分されます。
////塩水や海水が除草に効くメカニズム
塩水や海水が除草に効くのは、土壌中の塩分濃度をあげることにより、浸透圧ストレスやイオンストレスが生じるからです。
浸透圧ストレスとは、土壌中にある水の浸透圧が高くなることで、植物の根から水分を吸収する機能が低くなり、生育しにくくするものです。
葉に十分な水分を供給できなくなり、二酸化炭素の吸収や呼吸ができなくなるため、植物は枯れていきます。
またイオンストレスは、塩水や海水によってナトリウムイオンや塩素イオンといった植物に有害な成分を吸収したり、養分であるカルシウムやカリウムなどの吸収を妨げられることで、植物のもつ機能に異常をもたらせます。
雑草など多くの植物の場合、塩水や海水によってしおれたり枯れたりしますが、海の近くでは耐性をもった塩生植物と呼ばれる種類もあるため塩水除草や海水除草の効果が得られないこともあります。
////塩水除草VS海水除草
雑草を枯らすメカニズムから塩水と海水とでは除草には同等の効果があることがわかります。
では実際に散布する際に塩水と海水のどちらを使用するべきなのでしょうか。
コスト面
海に近いところにお住まいの場合には、手間はかかりますが海水は無料で手に入れることができます。
また海までの交通の便が良かったり車での移動が可能な場合には、その交通費や駐車場代で海水が手に入ります。
塩水の場合には、塩と水道代といったコストがかかります。
除草したい場所の広さによって必要な量も異なるため、コスト優先で考える場合には材料費や運搬費などを合わせて検討しましょう。
扱いやすさ
塩水は濃度を計算して作ることができるため、環境や雑草の強さなどによって、海水と同じ3.4%にしたり5.0%と濃い塩水にすることができます。
ちなみに必要な塩を導き出すには「水の重さ×濃度/100=塩の重さ」で計算することができます。
一方海水の場合には、そのまま使うことでおよそ3.4%の塩分濃度がありますが、さらに濃くしたい場合には煮詰めたり、天日干しにする必要があります。
そういった手間などを考えると、同じ効果が得られるのであれば塩水を選択したほうがいいでしょう。
野菜の栽培を考えている場合
トマトやネギ、玉ねぎなどを塩や塩水を使って栽培することを検討している場合には、海塩や海水を使った除草方法にするのがいいでしょう。
海塩や海水の塩分でストレスを人為的に与えたり、ミネラル分を補給する栽培方法で、管理は難しいですが甘みが増加するなど注目されています。
食塩の場合ミネラル分を除いてしまっているため、栽培でも利用する際には、ミネラル分の含まれた海塩や海水を選びます。
他にもミカンやさつまいもなど海塩や海水によって旨味や甘みが良くなるものもあるので、気になる場合には野菜や果物の種類、栽培方法などを調べてみましょう。
塩水や海水で除草する前に
多くの植物は塩によって生育や機能に異常をもたらします。
また、住宅付近で使用する場合には塩による金属のサビについても考えておかなければいけません。
塩水や海水で雑草を除草することだけでなく、周囲に悪影響を及ぼすものはないか、散布する前にしっかりと確認しておきましょう。
それから、塩を使った除草方法については土への影響や流れ出た塩水による河川への影響、風によっておこる砂埃による周囲の家屋の影響などさまざまな意見があり、近隣住民とのトラブルに発展する可能性もあります。
過去にテレビでも塩による除草方法について炎上してしまったということがありました。
塩を使用した除草についてはセンシティブな内容であることは執筆現在も変わらないため、トラブルにならないように近隣の理解を得ることや適切な分量、使用方法などしっかりと計画して行動するようにしたほうがいいでしょう。
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塩水や海水を撒きすぎたら
塩は土壌中で分解されないため、雨が降らなければそのまま残ってしまいます。
塩水や海水を撒きすぎたと感じたときや、散布した場所に植物を植えたくなった場合などには、真水で流すようにします。
土質が粘土質などの場合には、石灰を撒いて土壌の物理性を改善してから、真水を散水して流すようにしましょう。
土が真水に浸る程度で行い、排水するのが理想ですが、可能でない場合には散水で行います。
また塩生植物を植えることによって、塩分を吸収させるというファイントメディエーションという方法も研究されています。
除草で迷ったら生えない環境も検討する
塩水や海水を使用した除草方法は有効ですが、それでも数カ月後には新しい雑草が生えてきてしまいます。
雑草にわずらわされたくない、除草に手間や時間をかけたくないという場合には、雑草の生えない環境にするということも検討してみましょう。
コンクリート舗装や人工芝、砂利、グランドカバーなど雑草を生やしたくない場所によって施工方法を選ぶことができます。
またデザイン性についても何通りもあるため、好みの環境を作り上げることができるでしょう。
こまめに除草を行うことを楽しむこともできますが、わずらわしさを感じている場合には専門の業者に一度相談してみることをおススメします。
まとめ
ここまで塩水除草と海水除草について解説してきましたがいかがでしたでしょうか。
塩水や海水を使用する除草で重要なのが、土壌中の塩分濃度をあげることです。
そのため海水をそのまま使う方法よりも塩分濃度をコントロールしやすい塩水のほうが除草の際には扱いやすいでしょう。
また塩水や海水を使用した除草方法には、塩害のリスクなどデメリットがあります。
散布する前にしっかりと確認して、問題が起こらないようにすることが大切です。
除草対策については短期的にだけでなく長期的なこともふまえて検討するようにしましょう。
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